パンジーの語源について
パンジー(pansy)という名前は、フランス語の「pensée(パンセ)」に由来しています。
この「pensée」は「思い」「思考」「物思い」という意味を持ち、まるで人が静かに何かを考えているような姿を連想させます。
この名が花に与えられたのは、パンジーの花の形が、まるで物思いにふけっている人の顔のように見えることからだと言われています。
特に、3色の花びらが入り混じる姿が、感情豊かで、何かを考えているかのような表情を感じさせることから、ヨーロッパでは「思索」「追憶」「心の象徴」として愛されてきました。
英語「pansy」の語源と広まり
英語の「pansy」という言葉は、中世末期の15世紀頃 にフランス語「pensée」から取り入れられました。
当時のイギリスではフランス文化の影響が強く、言葉や花の名前にもフランス語由来の表現が多く見られました。
その流れの中で、「pensée=思い」という意味を持つこの花の名が英語でも「pansy」として定着していったのです。
古代から知られていた花としての背景
現在のパンジー(学名 Viola × wittrockiana)は、19世紀にヨーロッパで品種改良されて誕生した園芸種ですが、そのもととなるスミレ属の植物(特に Viola tricolor=野生のパンジー/ハートシーズ)は、古代ギリシャやローマ時代から知られていました。
古代人にとってもスミレの花は「愛」や「記憶」「誠実さ」を象徴する存在であり、時を経てそのイメージがパンジーにも受け継がれています。
パンジーに込められた文化的・文学的象徴
中世ヨーロッパでは、パンジーは「愛する人を思う」「想いを寄せる」という意味を持つ花として、恋人たちの間で贈り合われることが多くありました。
特に「あなたを思っています」というメッセージを込める花として、深い感情の象徴とされていたのです。
文学の世界でも、パンジーは「思索」や「心の動き」を表す花として頻繁に登場します。
シェイクスピアの戯曲『ハムレット』の中で、オフィーリアが「パンジーは考え(思い)のために」と語る場面がありますが、これはまさにパンジーが「思い」や「心の記憶」を象徴する花として扱われていた証拠です。
まとめ
パンジーという名前は、「pensée=思い」というフランス語に由来し、その花の表情や形から「物思い」「心の象徴」を意味するようになりました。
古代のスミレに始まり、中世の恋愛文化、そして文学にまで息づくパンジーの歴史は、単なる可憐な花ではなく、人の心や感情の深さを映す存在 として受け継がれてきたものなのです。
以上、パンジーの語源についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
