南国ムード漂う人気植物「ハイビスカス」と「ブーゲンビリア」。どちらも鮮やかな色と華やかな雰囲気で人気ですが、分類・花の構造・育て方・耐寒性・印象など多くの点で異なります。
この記事では、それぞれの特徴と違いをプロの園芸視点で詳しく解説します。
目次
ハイビスカス(Hibiscus)とは
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 科・属 | アオイ科フヨウ属 |
| 学名 | Hibiscus rosa-sinensis |
| 原産地 | 熱帯〜亜熱帯アジア(※ハワイは原産地ではなく“品種改良の中心地”) |
| 形態 | 常緑低木〜亜低木 |
| 英名 | Hibiscus, China rose |
特徴
- 花:直径10〜15cmの大輪。多くは一日花ですが、品種によっては2〜3日咲くものもあります。
- 色彩:赤・ピンク・オレンジ・黄色・白など非常に多彩。
- 葉:光沢がありやや厚め、縁に鋸歯(ギザギザ)。
- 開花期:6月〜10月(温暖地では5〜11月まで咲くことも)
育て方のポイント
| 項目 | 管理方法 |
|---|---|
| 日光 | 強い日差しを好む。夏の極端な西日は花痛みが出るため、半日陰に移動させても良い。 |
| 水やり | 表土が乾いたらたっぷり。猛暑日は朝夕2回が安心。 |
| 肥料 | 生育期は緩効性肥料+液肥を併用すると花数UP。 |
| 剪定 | 春〜初夏に軽く切り戻すと枝数が増え、花つきが良くなる(※“剪定不要”は誤り)。 |
| 耐寒性 | 7〜10℃を下回る前に室内へ。霜にあたると落葉・枯死する場合あり。 |
ブーゲンビリア(Bougainvillea)とは
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 科・属 | オシロイバナ科ブーゲンビリア属 |
| 原産地 | 中南米(ブラジル・ペルーなど) |
| 形態 | 棘のある半つる性〜つる状低木(誘引や支柱が必要) |
| 学名 | Bougainvillea spp. |
| 英名 | Bougainvillea, Paper flower |
特徴
- 見えている“花”は花ではなく苞(ほう)。中心の白く小さな部分が花本体。
- 苞の色:ピンク・紫・赤・オレンジ・白など。
- 葉:薄く柔らかい。品種によって斑入りもあり。
- 棘に注意:誘引作業・剪定時にケガしやすい。
育て方のポイント
| 項目 | 管理方法 |
|---|---|
| 日光 | 強光大好き。日照不足では苞に色がつかない。最低6時間以上の直射日光が理想。 |
| 水やり | 乾燥気味が基本。「しっかり乾いたら与える」。過湿は花が咲かない原因。 |
| 花を咲かせるコツ | 日照・適度な乾燥・肥料控えめ(窒素過多で葉ばかり繁る)。 |
| 剪定 | 花後に切り戻し+形を整える。誘引作業も必要。 |
| 耐寒性 | 5℃以下で枯死の可能性。10℃を維持できる室内が理想。 |
ハイビスカスとブーゲンビリア:比較表
| 比較項目 | ハイビスカス | ブーゲンビリア |
|---|---|---|
| 分類 | アオイ科 | オシロイバナ科 |
| 原産地 | 熱帯アジア | 南アメリカ |
| 形態 | 常緑低木 | 半つる性・棘あり |
| 花の構造 | 大輪の花(花弁5枚) | 白い小花+色鮮やかな苞 |
| 葉 | 厚みがあり光沢・鋸歯あり | 薄く柔らかい・先が尖る |
| 開花期 | 6〜10月(夏中心) | 5〜11月と長期間 |
| 水分の好み | やや湿り気・毎日水やり | 乾燥気味を好む |
| 耐寒性 | 7〜10℃必要 | 10℃前後必要・5℃以下は危険 |
| 剪定 | 春の軽剪定が有効 | 花後の切り戻し+誘引 |
| 育てやすさ | 水管理が面倒だが育てやすい | 乾燥・日照管理+誘引でやや上級者向け |
| 印象 | 情熱的・南国リゾート感 | 南欧風・エレガント・ナチュラル |
どちらがあなた向き?
| ライフスタイル・目的 | 向いている植物 |
|---|---|
| 毎日の水やりを楽しみたい | ハイビスカス |
| 手間をかけず長く咲かせたい | ブーゲンビリア |
| ベランダでコンパクトに育てたい | ハイビスカス |
| フェンスやアーチを彩りたい | ブーゲンビリア |
| とにかく花が大きく見栄え重視 | ハイビスカス |
| 軽やかで空間全体を彩りたい | ブーゲンビリア |
よくある質問(FAQ)
Q. ブーゲンビリアの花(苞)が咲かないのは?
A. 日照不足・水の与えすぎ・窒素肥料の使い過ぎが主な原因です。土が乾くまで水をやらず、しっかり太陽に当てましょう。
Q. ハイビスカスの花が1日でしぼむ…枯れている?
A. それが正常です。ハイビスカスは多くが“一日花”。でも毎日咲くため、株が健康なら問題ありません。
Q. 冬の管理はどうすべき?
- ハイビスカス:最低7〜10℃を保ち、明るい室内で管理。水やりは控えめに。
- ブーゲンビリア:10℃前後を確保し、葉が落ちても春に芽吹くことあり。断水しすぎないよう注意。
まとめ
- ハイビスカスは「大輪の花を楽しむ植物」
- ブーゲンビリアは「空間全体を彩る植物」
- 性質も育て方も違うため、環境とライフスタイルに合った選択が大切です。
どちらも正しく管理すれば、日本でも長期間開花を楽しむことができます。
以上、ハイビスカスとブーゲンビリアの違いについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
