ハイビスカス(Hibiscus)は、熱帯〜亜熱帯地域に広く分布する植物で、鮮やかな花色と南国らしい印象から世界中で愛されています。
一方で「ハイビスカス=〇〇国の花」と断定されることはあまりなく、国花・州花・伝統文化・宗教・象徴など、さまざまな形で各国に根付いています。
本記事では、ハイビスカスが特に重要視されている国や地域を、歴史的背景・象徴性・文化的意味とともにわかりやすく解説します。
目次
ハイビスカスと関わりの深い国と文化
マレーシア(Malaysia)
- 国花名:ブンガ・ラヤ(Bunga Raya)/品種:Hibiscus rosa-sinensis
- 制定:1960年に国花として公式採用
- 象徴するもの:
- 5枚の花びら → 国家の5つの原則「ルクン・ネガラ(Rukun Negara)」を象徴
- 赤色 → 勇気・生命力・国家の活力
- 多民族国家における調和と統一の象徴として選ばれた
- ※「イスラムの五柱」と誤解されることがありますが、正しくはルクン・ネガラです。
アメリカ・ハワイ州
- 州花:イエロー・ハイビスカス(Hibiscus brackenridgei)utel
- 制定年:1988年に州の公式花に指定
- 特徴・意味:
- ハワイ固有の品種で、絶滅危惧種にも指定されている希少な花
- レイや髪飾りとして使われ、アロハ精神・歓迎・愛・友情の象徴
- 女性の美しさや、新しい始まりを表す花としても親しまれる文化的存在
韓国(大韓民国)
- 国花:ムグンファ(無窮花/Hibiscus syriacus)
- 注意点:一般的な「ハイビスカス」とは別種ですが、同じアオイ科フヨウ属の仲間。
- 象徴性:
- 「無窮」=終わりなく続くもの → 国家の永続・不屈の精神
- 朝鮮王朝時代から愛され、現在では国章にもデザインされる象徴的存在
- 補足:法的には国花と明記されていませんが、国民的合意のもと実質的な国花とされています。
インド
- 宗教的な意味が非常に強い国
- ハイビスカス(特に赤色)は女神カーリー(Kali)への供物として捧げられる
- カーリーの「血・力・破壊と再生」を象徴する花として神聖視されている
- ヨガ・瞑想・アーユルヴェーダでも祭壇装飾に使われ、神聖な花=聖性の象徴
中国
- 呼び名:木槿(ムクゲ/Hibiscus syriacus)や芙蓉(Hibiscus mutabilis)
- 詩・水墨画などに登場し、美しさ・儚さ・人生の無常を象徴
- 一日で萎れる性質から、「朝の栄華・夕べの儚さ」の象徴として描写される
タヒチ・ポリネシア諸島
- ハイビスカスやティアレ(タヒチの国花)を髪飾りとして使用
- 耳に挿す位置で意味が変わる伝統文化:
- 左耳(心臓側)→ 恋人・配偶者がいる(既婚)
- 右耳 → 独身・パートナー募集中
- 旅行客にも知られるロマンチックな慣習として人気
ハイビスカスが象徴するもの一覧
| 象徴する意味 | 内容 |
|---|---|
| 美しさ・女性らしさ | 色彩と形の華やかさから、女性の優美さや魅力の象徴 |
| 愛・情熱 | 特に赤色は愛情・生命力・情熱を表す |
| 儚さ・無常 | 「一日花」であることから、命の儚さや美の移ろい |
| 南国・開放感 | リゾート地・海・バカンスの象徴として世界的に定着 |
| 調和・多様性 | 多民族国家(例:マレーシア)での共存・統合の象徴 |
まとめ
ハイビスカスは「どこの国の花か?」という問いに対し、単一の国に限定される花ではありません。
国花・州花・宗教・文化・装飾・象徴など、国や地域ごとに異なる意味を持つ“国際的な花”です。
特に重要な国は以下の通り。
- マレーシア:国花(ブンガ・ラヤ/1960年制定)
- ハワイ州:州花(イエロー・ハイビスカス/1988年制定)
- 韓国:ムグンファ(法律上ではないが実質的な国花)
- インド・中国・ポリネシアでも宗教・文化・装飾として重要
以上、ハイビスカスはどこの国の花なのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
