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マリーゴールドの原産国について

マリーゴールド,イメージ
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原産地:メキシコを中心とする中南米

マリーゴールド(学名:Tagetes)は、メキシコを中心とした中央アメリカおよび南アメリカの熱帯・亜熱帯地域を原産とする植物です。

現在知られている Tagetes 属の多くの種は、メキシコ原産であり、この地がマリーゴールドの多様性の中心とされています。

メキシコの気候や風土に適応しながら自然分布を広げた結果、数多くの野生種や品種が生まれました。

古代中南米文明における利用と文化的意義

マリーゴールドは古代メソアメリカの文明、特にアステカ文明において重要な植物でした。

アステカ人はこの花を「センパスチトル(cempasúchil)」と呼び、宗教儀式や医療、祭祀に幅広く用いていました。神聖な花として、祭壇や墓に供えられ、太陽神への捧げ物としても知られています。

また、マリーゴールドは古代メソアメリカの伝統医療でも重宝されており、抗炎症作用や消毒作用をもつ薬草として利用されていました。

こうした用途は現代の民間療法にも一部受け継がれています。

ヨーロッパへの伝播:16世紀の大航海時代

16世紀の大航海時代、スペインやポルトガルの探検家たちが中南米からマリーゴールドをヨーロッパへ持ち帰りました。

これが世界各地への伝播のきっかけとなります。

ヨーロッパでは、その鮮やかな花色と栽培の容易さから急速に人気を集め、庭園や公園の定番植物となりました。

とくに、スペインから北アフリカに伝わった Tagetes erecta が「アフリカン・マリーゴールド」と呼ばれるようになったのは、この歴史に由来します(実際の原産地はアフリカではなくメキシコです)。

ヨーロッパの宗教文化にも取り入れられ、教会祭礼や装飾花として用いられるなど、観賞用・儀礼用の両面で広まりました。

アジアへの拡大とインドでの定着

ヨーロッパからの貿易ルートを通じて、マリーゴールドはアジア各地へも伝わりました。

特にインドでは宗教的・文化的に非常に重要な花として定着し、今日に至るまで結婚式、寺院の供花、祭礼(ディワリなど)で欠かせない存在です。

インドではマリーゴールドの花輪(ガーランド)が神々への供物や人々の祝福を象徴しています。

中国や日本などのアジア諸国でも園芸植物として普及し、耐病性の高さや線虫抑制作用など、農業的な価値も注目されています。

現代の栽培と利用状況

今日ではマリーゴールドは世界中のあらゆる地域で栽培されており、観賞用だけでなく農業・文化の両面で幅広く活用されています。

  • アメリカ合衆国:家庭園芸や商業的な花卉栽培で人気が高く、都市景観の彩りに欠かせません。
  • ヨーロッパ諸国:公共緑地や公園、ガーデンデザインで多用され、都市の景観美化に貢献。
  • インド・南アジア:農村地域では主要な花卉作物の一つであり、宗教儀礼・輸出産業としても経済的価値が高いです。

また、メキシコでは現在でも「死者の日(Día de los Muertos)」に欠かせない花として、Tagetes erecta が墓や祭壇を彩ります。

オレンジ色の花弁は「魂を導く光」として象徴的な意味を持ち続けています。

主な種と特徴

マリーゴールドには多くの種と園芸品種が存在しますが、代表的なものは以下の通りです。

  • Tagetes erecta(アフリカン・マリーゴールド)
     メキシコ〜グアテマラ原産。大輪でボリュームのある花を咲かせ、切り花や花壇向けとして人気。
  • Tagetes patula(フレンチ・マリーゴールド)
     メキシコおよびグアテマラ原産。花は小型で、色彩豊か。ヨーロッパで改良が進み、コンパクトな園芸品種が多く存在します。
  • Tagetes tenuifolia(シグネット・マリーゴールド)
     メキシコ〜ペルー原産。小型で香りが強く、ハーブ的な利用価値もあります。

※なお、「マリーゴールド」という名前は、ヨーロッパで古くから知られるキンセンカ(Calendula officinalis)にも使われますが、こちらは全く別の植物(キク科キンセンカ属)です。

まとめ

マリーゴールド(Tagetes 属)は、メキシコを中心とする中南米を原産とする花であり、古代から宗教・医療・文化に深く関わってきました。

16世紀以降、ヨーロッパを経由してアジアへと広がり、現在では世界中で愛される花として定着しています。

その鮮やかな花色、美しい香り、そして害虫抑制や儀礼的価値といった多様な機能により、マリーゴールドは今もなお、人々の暮らしと文化の中で欠かせない存在です。

以上、マリーゴールドの原産国についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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